パチスロ SLOT魔法少女まどか☆マギカ2 評価 19点
パチンコもパチスロも本当に終わったんだな、そう感じさせてくれる台が登場しました。
「新内規って出ない上にコイン持ちもクソだよね」と気が付き始めた鋭いユーザーをパチ屋から完全に追い出す為、親の七光り二世タレントとして登場した『魔法少女まどか☆マギカ2』である。ロングヒットとなった前作より、約3年の時を経てのデビューとなりました。
何よりも驚くべきはその第一次全国導入台数、約25000台。
それでも『まどマギの聖地』と呼ばれる秋葉原では導入初日に約4000人のパチスロユーザーが抽選に参加。遊技を夢見て行列を作ったとのこと。
業界内部からも「機種の評価はまだ不明だが、これだけのユーザーを動かす力をまだ業界は持っていたのか」と驚き・歓迎する声もあったようですが、 実際に遊技をしたスロッターの叫びは落胆・絶望・もしかしたらクソ台?
本機を取り巻く業界の状況は、諸手を上げて喜んでいる場合では絶対に無い。
“騒がれる事だけ”は約束された二世タレント
華々しくデビューを飾った本機だが、その理由は原作ファンの大きなお友達とシリーズ前作『SLOT魔法少女まどか☆マギカ』のロングヒットであって、決して導入前の本機に対する市場評価ではない事は誰の目にも明らかであった。
現代の情報化社会の中、機種情報を限界まで制限する事でホールに対して売り手有利のまま成長し続けるメーカーも、実に業界の一流企業らしい手法を取った。販売台数としては本機の大ヒットが約束されている為、導入一ヶ月で中古販売価格が3万円を切った哀れな機種を最速導入の条件販売として付けることでALIVE。ホール側は今後メーカー側に飼いならされてDEADする未来を手に入れたのである。
本機は大量導入の結果、評判が落ちるのが圧倒的に早かった。大量導入されたパチスロ台の宿命とも言うべきものであるが、『出れば良台、出なければクソ台』というパチスロが遊技される大きな理由『出玉性能』についての評価を得る事も、当然に出来なかった。
1500Gも回せば、ユーザーも出玉感の無さに呆れたのか初日から空き台がチラホラ。
それでも根強い新台マジック・版権マジックで遊技客が次から次へと湧いてくるのだから、新台デビューした本機に対するユーザーの期待感の高さを感じずにはいられなかったのだ。
しかし、そんな状況は導入一週間もすれば見る影も無くなった。これからジワジワとホール営業を圧迫していく、悲しい未来を多くのユーザーに想像させる結果だ。導入から2週目で通路になるのはホール営業にとって、もはや犯罪と言っても過言ではない。
スタート地点が優遇された名前や原作だけが立派な二世タレント、まるで高畑○太みたいなパチスロ台が増えていく事を取り締まる必要すら感じさせてくれる本機の大量導入は、大きな転換期を迎えるパチスロ業界にとっては大きな事件となった。
パチスロ業界の終わりの始まりを、本機は堂々と大きく踏み出した。
リピーターがいない事が空き台の理由
獲得枚数がほんの150枚しかないせいで、余計に重く感じるボーナス。当然のように駆け抜ける初期50GのARTについては、特に言及する必要すら感じられない。直乗せやマギカクエスト・ワルプルギス中のヒキで出玉が伸びる事ぐらいは誰だって理解が出来るし、特に目新しいものはない。
しかし、出玉感の無さはどうしたものか。原作がアニメである以上、演出が元々大きなお友達向けに作られているのは多少、仕方がないのだが、ここまでメリハリの無い出玉感だと前作を打っている時に良く見かけた
「あ〜?俺はアニメとか興味ねえけどさ、勝てるから嫌々打ってんだよね。マジでオタクってキモいな、おっ通常ラッシュきた……へへへ……アン?俺が好きなのはあんこだよ、あんこ。原作なんかとっくに全部観たぜ」
といった所から原作ファンになった肉体労働者のお兄ちゃん人口が、いざ2になった本機を長く遊技するかといったら、それは大変に難しい事だろう。
出玉感もそうだが開発側の一番の失敗な、コイン単価にあると感じてしまった。ホールのメインに据えられている20円スロット、本機のメリハリの無い出玉性能で、面白いとされている特化ゾーンに辿り着くまで誰が遊技を続けるのか?
パチスロからギャンブル性を剥ぎ取るならば、せめてそれに見合ったコイン単価を用意する事すら出来ないのか?
「それがA+ART機だから、それが新内規のスロットだから耐えきれない奴はゴメンな」というのが業界の総意であるならば、パチスロは既に終わっていると言い切れる。
パチスロ台を楽しむには高設定を打つべし!との意見には賛成するところも多い。
ただ、それに続く『設定を使わないホールは潰れるべし!』には素直に賛同が出来ない。
本機のようにユーザーから距離を置かれる機種の大量導入、それを助長しているメーカーもユーザーからすれば不利益にしかならないからである。
本機に関して言えば、なぜもう少しだけでも遊びやすい仕様に出来なかったのか。特に人気のある版権を使用し“萌え”のファン層に需要があるのならば、いっそのこと設定の話は抜きにしてもいい。
私が伝えたい事は単純である。
サラリーマンなら月のお小遣い、学生なら今月のアルバイト代など(あえて業界を支える専業者には触れないが)で今月分の予算を使い切ってしまったとしよう。
あなたが翌月の給料日、また同じ金額が財布にある場合、果たして新台初日に5時間遊技した時に最高獲得枚数が軒並み400枚以下だった新台を、ギャンブルでお金を増やしたい!そう思ったときに再度遊技しようと思うだろうか?
答えは絶対にNOだろう。
初日に遊技して運良く勝った!高設定台を掴めた!というユーザーよりも、負けるユーザーが多いのは業界では当然の現実である。勝った負けたを抜きにしてパチスロを楽しめる層が業界を支えているわけではない。
大量導入の弊害はここにも起きている。
パチスロに夢を捨てろと業界は言っている
最後になるが、高設定への夢・ギャンブルとしての夢を抱けない時代は既に到来している。
どんなに注意深く店を選び台を選び、出来る限りの力を尽くしても常勝が難しいのはギャンブルとして当たり前なのだが、今後の状況が一層悪化して行くことは想像に難くない。
ホールやユーザーが口にする「高設定は出玉が安定する」というギャンブル性を売りにした文句は、それこそ業界が掲げる『パチンコ・パチスロは遊技である』という文言と確実に相容れない。
今以上に勝ちにくい、ギャンブル性を売りにしなくなった機種に対して、一体どれだけのユーザーが残り、遊技を続けていくのか。
本機に関して最後に一つ提言するのであれば、設定判別要素を出し渋るメーカーの姿こそアステカの失敗から何も学んでいない証拠ではないか。手痛く負けたユーザーが再度遊技に挑戦したくなる環境作りこそ、業界全体で取り組むべき使命ではないのか。
いまや三流のギャンブルであるパチンコ・パチスロ業界に、資金力だけの一流メーカーなど不要である。
SLOT魔法少女まどか☆マギカ2 19/100点
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